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圧倒的な努力で伝説を作れ!「編集者という病」

 

 

「無理を突破してこそ仕事だろ」

 
これほど熱い思いを持った男が他にいるのだろうか。
石原慎太郎などの文壇だけでなく、尾崎豊松任谷由実など業界のトップオブトップと圧倒的な努力と人間力で信頼関係を築き、業界の「無理」を突破してきた見城徹
 
本書は見城氏のこれまでの編集者人生を振り返り、仕事に取り組む上での心構えや学びを具体的なエピソードを交え、余すとこなく書かれている。編集に関わるものだけでなく、働くものすべてに共通する心構えとなるビジネスパーソン必読の書だ。
 
 
まず、編集者とは「人の精神という無形のものから本という商品を作り出し、収益を上げる」という仕事である。つまり、編集者が、良いと思う表現者の懐に入り込み、信頼関係を構築することが編集者の原点だ。編集をプロセスで表すと、
 
①コンテンツを見つける→②惚れ込んだ相手に会い、自分を売り込む→③信頼関係を構築する→④相手を刺激し、無意識を顕在化し世の中に提供
 
という、ありきたりなものになりがちだが、見城氏は各プロセスで戦略を立て、圧倒的な努力で新しい価値を世の中に提供してきた。以降でプロセス毎に見城氏の言葉を紹介したい。
 
 
①コンテンツを見つける
「オリジナリティがあること」「明確であること」「異端・極端であること」「癒着があること」が売れるコンテンツの条件である。
 
「無名のものを見つけ、大きくして初めて編集者」
 
 
②自分が惚れ込んだ相手に自分を売り込む
「うちと仕事をしない、という人たちを落として仕事をしよう。そうじゃなかったら自分の価値は無い。」
 
「所属する組織はいつも隠れ家でなければならない。その場所がアイデンティティになってしまうと、自分の存在価値は全く無くなってしまう」
 
「編集者というのは伝説を作れるかの勝負。伝説さえできてしまえば、すべてがうまく回転していく。」
 
惚れた表現者にどれだけ親身に関われるかが編集者の原点」
 
「どんな世界でも決定的に大物だと言われる人3人に必死に食らいついて、その3人に可愛がられる。加えて、自分の目で見てこれは絶対にすごくなると思う新人3人を押さえる。この6人を抑えれば真ん中は自然に向こうからやってくる」
 
 
 
③信頼関係を構築する
「膨大な人脈は夜を徹しての酒と議論、寝る間を惜しんでの耽読によって築かれたもの。これほどの努力を人は運という。」
 
 
④相手を刺激し、無意識に思っていることを顕在化→世の中に提供
「刺激する言葉をいっぱい吐く。その人が無意識に持っているものを観察しながら、それをどの言葉で言ったら相手の中で顕在化していくのか。もし傷口があるのであれば、どの場面でそこに塩を塗りこむのか。相手に僕と仕事がしたいと強く思わせる状態ができるまでは無理に何かしようとしない」
 
表現者にとって一番書きたくないものが編集者には一番書かせたいことであり、それが黄金のコンテンツになると信じて口説き落とす。それが編集者である。」
 
「人の精神と仕事する。相手を刺激できない編集者ほどつまらない存在はない。自分を刺激してくれる、成長させてくれると思われなければ、表現者は絶対についてこない。」
 
「相手との距離を縮めて付き合うわけだから、関係が一時悪化することもある。大事なところに触れてしまうわけだから、擦り傷、返り血も浴びる。それを恐れていても何も始まらない。取り返しのつかないことになってもいい。踏み込まず、なぁなぁより良い。」
 
「リスクの8割は努力で埋められる。実現可能性が低いと思われるもの以外は仕事じゃない。だからリスクが10あるところに行く。常に最悪を想定。その上で最高をイメージし、そこに向かって何をやるか。最悪を想定して最高をイメージできるから、クリエイティブなところではギャンブルがありえる」
 
 
素晴らしい言葉の数々である。が、実行するのは大変だ。なぜ見城氏は実行できるのか。それは死に際に、「良い人生だったと思いたい」からだ。やはり、「何の為に頑張るのか」という思想がしっかりしている人や「死への意識」がある人は強い。スティーブ・ジョブズもそうだった。
 
良いものを世の中に送り出したいという強い思い・覚悟・チャレンジ精神、圧倒的な努力、自分磨き何かで突き抜けていないと世の中のトップオブトップとは信頼関係を構築することはおろか、会うことすらできない。手っ取り早いのは唯一無二の圧倒的な伝説をつくることだ。内容は何でも良い。自分が好きなことで寝食を忘れるくらいの圧倒的努力をしよう。その努力で積み上げられた伝説・資産の価値はいつか人の目に止まるし、そう簡単に毀損しない。その資産を売り込み、信頼関係を構築し、償却して、世の中に付加価値を提供しよう。
 
そんな風に意識して生きていったら楽しいし、見城氏が言うように納得して人生を終えられそうだ。
 
ちなみに、今これを体現しているのが幻冬舎の箕輪氏である。箕輪編集室やNewsPicksアカデミアなど彼の活躍から目が離せない。