インフルエンサーとは教祖力だ!「完全教祖マニュアル」
- 作者: 架神恭介,辰巳一世
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2016/07/29
- メディア: Kindle版
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100の生業を持つ百姓になれ!「日本再興戦略」
しかし、技術の導入だけでこの問題を解決することができるのだろうか。効果最大化の為にも日本のグランドデザインが必要だ。これまでの安易な“欧米方式”の横展では不十分だ。日本の現状に真正面から向き合い、日本の歴史を踏まえた、日本人の価値観に合ったあるべき姿の設定が必要だ。革新的な技術の導入前の今がチャンスなのである。
本書では今世界で最も注目される日本人科学者の落合陽一氏が徹底的な歴史・現状分析で「日本には何が向いているのか」という本質をあぶり出し、高齢化社会・人口減少が進む日本が世界で圧倒的に突き抜けるための処方箋を描いており、これからの日本を考える上で必読である。
日本の戦後からの高度成長期の発展は目を見張るものだった。戦後の混乱の中、アメリカやヨーロッパの社会システムを採用し体裁を整え、モノが不足する中で誰もがより良い生活を求めてがむしゃらに働いた。ゼロからの出発に人口増加の追い風が吹き、経済は成長し、生活は豊かになった。“日本的”とされる終身雇用や年功序列などの強固なシステムの中で、働いた分だけ豊かになったのだ。要はあまり深く考えなくても人口が多いのでそれなりに売れてしまい、失敗を見えづらくしていたのだ。
だが、その後バブルが崩壊。日本は低成長に悩まされてきた。モノ不足→モノ余り、人口増加→減少、経済発展を通じ価値観が変わる中、大量生産大量消費時代に導入した仕組みを盲目的に信じ、これまでもなんとかなっていたので、この先もなんとかなるだろうという根拠のない楽観論でここまできてしまったのだ。日本人はルールを守るのは得意だが、そのルールがなぜ設定されたのか、時代に合ったものなのか、検証し、アップデートするのが苦手である。考えることを放棄したツケが今回ってきているのである。
このような環境の中で落合氏は「①仕事のポートフォリオマネジメント」と「②金融的投資能力」が必要であり、適切な時期での教育に織り込むことを強く推奨している。
①仕事のポートフォリオマネジメント
高度成長期の仕事は重厚長大産業が中心だったが、今はモノとサービスのバリューチェーンで勝負する時代になっており、価値も他業界も巻き込み水平統合で付けていく時代に変わっている。結果、サービス業の比重が高まり、栄枯盛衰が激しくなっている。激動の時代では会社も終身雇用を保証することができなくなる。個人もこれまでのように同じ仕事を同じ会社で続けることはリスクだし、特にホワイトカラーの仕事は代替可能で希少価値がない。そんな中、我々は百姓的な生き方、つまり、百の生業を成すことを目指した方が良いのです。江戸時代の百姓は実際に複数の仕事を掛け持ちしていたのだ。そうすればバリューチェーンで考えられるようになるし、コモディティ化することもない。百の生業の中でもプロフィットセンターとコストセンターを持つことができれば、好きなことも安定的に続けることができる。ただし、何にでもがむしゃらに手を出せば良いという訳ではない。まずは何か1つのことをやりきり、その中でTopになることが必要だ。そうすれば他の業界のTop of Topの目に止まり、初めて横展のチャンスが生まれる。今の時代はTop of Topに”会う“ことへのハードルは下がっている。しかし、会ったり、写真を撮ったりするだけでは何の意味もない。Top of Topとしっかり話ができて、君と仕事がしたい、と思われて初めて横展が可能になるのだ。
②金融的投資能力
Topになる為には時代感覚を掴む能力が必要であり、それは金融的投資能力とすごく似ている。そのため、仕事のポートフォリオマネジメントに加えて、金融的投資能力が求められる。金融的投資能力とは「何に張るべきか」を予測する能力だ。日本人は一般的にこの手の対応が苦手だが、それは縦割りで専門家を育てようという風潮によるところが大きい。そうならない為にも、何でもよいのでTopになり、百姓として横展をすることが重要だ。
これからの時代は上記2つの能力が特に求められるが、教育システムはこれに対応できていない。落合氏はこれらを高校教育に入れ込むべきだと主張している。事実、高校は上級中学校のようになっており、大学受験に備えるだけに成り下がっている。幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と人間の成長に合わせた教育をするべきだが、まさに高校はポートフォリオマネジメントと金融的投資能力を教える絶好の機会である。
全体を通じ、落合氏の現状把握能力、歴史を踏まえたあるべき姿の設定力、解決策の提示など大変説得力があり刺激的であった。圧倒的な教養にも驚かされた。自分も自分の好きな分野でTopになれるよう、専門性を深めていき、日本の再興に貢献したい。
- 作者: 落合陽一
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2018/01/31
- メディア: 単行本
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初心者もまずこの一冊から!「決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法」
・数字の羅列でそれぞれ何を意味しているのかわからない
・どこから読めばいいのかわからない
といったところだろうか。
ところが、”Accounting is the language of business” (会計はビジネスの共通言語だ)という言葉があるように、財務諸表を読み解く力はビジネスをする上で必須だ。というのも、財務諸表は会社のあらゆる活動を数値化し、取りまとめた会社のエッセンスだからだ。会社の価値を算出する際も、競争力を図る際も、入口は財務諸表だ。
会社の活動は、
①お金を集める
②(集めたお金を)資産に投資する
③(投資した資産を使って)ビジネスを行い付加価値を提供し
④利益を上げる
という流れである。
これらを数字で表したものが財務諸表である。つまり、皆さんの会社での活動も全て財務諸表に表現されているのだ。
財務諸表は主に、A:貸借対照表、B:損益計算書、C:キャッシュフロー計算書の3つで構成されている。
この3つはそれぞれに役割があり、密接に繋がっているのだ。この繋がりを理解すると、無機質な数字の羅列だった財務諸表が、急に血が通った会社のストーリーに見えてくる。まずはそれぞれの役割について見ていこう。
と思ったが、言葉で理解するよりも、図解して大きな流れを理解することのほうがよっぽど大事だ。普通のビジネスパーソンは会計の専門家になる必要はない。会社の事業活動の全体像や流れ、強み弱みを理解し、課題を見つけ、次のアクションに繋げれば良いのだ。
では、早速見ていこう。
貸借対照表と損益計算書は以下の通り繋がっている。
(図は明日掲載)
細かいことは気にする必要はない。この大きな流れを理解できていれば良い。これでだいぶ財務諸表の見え方が変わるはずだ。
※キャッシュフロー計算書との繋がりは、本書をご参照頂きたい。
私は元々会計には興味が無かったが、ちょっとしたきっかけで本書を手に取ったことで、会計の面白さに気づき、米国公認会計士試験に合格するほどのめり込んだ。
“Accounting is the language of business”
会計というビジネス上での共通言語が理解できると仕事に深みが増し幅も広がる。
是非本書を手に取り、きっかけを掴んで欲しい。
決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
- 作者: 國貞克則
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2007/05/30
- メディア: 新書
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圧倒的な努力で伝説を作れ!「編集者という病」
「無理を突破してこそ仕事だろ」
人口減少社会への処方箋 「新・所得倍増論」
先進国最速での高齢化の進展、社会保障費の増加、少子化、国の借金の増大など課題が山積みな日本。これらの課題を解決する為には経済成長が必須である。但し、人口が減る中でそれを成り立たせる為には、生産性の向上が不可欠だ。
- 作者: デービッドアトキンソン,David Atkinson
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/12/09
- メディア: 単行本
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資本主義から価値主義へ「お金2.0」
本書では、お金や経済とは何か?についてその起源やメカニズムを噛み砕いて説明すると共に、それがテクノロジーの進化によって、従来の資本主義の枠組みでは価値が認められなかったものの価値が可視化される「価値主義」の到来を予測している。
内容もさることながら、筆者の物事を深掘りし本質を突き止める姿勢や、導き出された仮説を机上の空論で終わらせず、事業で繰り返し検証する姿勢に感銘を受けた。
まず、お金には価値の「保存」「尺度」「交換」の役割があり、貝殻、金属、紙など時代によって形を変えてきた。元々は価値交換などの「手段」に過ぎなかったお金だが、それが社会の中心になるにつれて、お金からお金を生み出す方が効率的だと考える人が出てき、「お金を増やすこと自体が目的」になってきた。お金がないと何もできない資本主義の元では必然的な流れである。
そのお金の活躍の場が経済システムだが、持続的かつ自発的に発展する非常によくできたシステムだ。発展するシステムに共通するのが①インセンティブ、②リアルタイム、③不確実性、④ヒエラルキー、⑤コミュニケーションだ。
まず経済システムには参加者がいないことには何も始まらないが、参加者を集めるには明確な報酬が必要だ(①インセンティブ) 。モノが溢れる現代では社会的な欲望が強い。中でも「儲けたい・モテたい・認められたい」を満たすシステムは急速に発展しやすい。
また人間は変化が激しい環境では緊張感を持って活動することができるが、変化がないと緊張も努力もする必要がなくなり、全体の活力が奪われてしまう(②リアルタイム)。
併せて、誰もが何事も予測可能なシステムでは必死に生きたいと思わないだろう。運と実力の両方で這い上がることができるシステム設計が重要だ(③不確実性)。
そのようなシステムの中での活動の結果が可視化され、他の参加者と比較できることも重要だ(④ヒエラルキー)。売上、利益、年収、偏差値、肩書きなどがそれに当たる。但しヒエラルキーが固定化されると全体の活力が失われる為、新陳代謝を促す制度設計が重要だ。
また、参加者とコミュニケーションも重要だ(⑤コミュニケーション)。人は社会的な生き物であり、他人との関係性で自己の存在を定義づけしている。参加者同士が交流しながら助け合ったり議論したりする場を提供することが重要だ。
自発的に発展する経済システムは上記の5つの観点が含まれているが、忘れてはならないのが、システムには寿命があるということだ。完璧なものを作ろうとはせずに、寿命があることを前提に、寿命がきたら別のシステムに参加者が移れるように準備しておくことが重要だ。
また、参加者は利害を重ねる共同体でありながらもライバルでもある。自分勝手ややったもん勝ちの状態が放置されると崩壊に繋がる。秩序を保つことが重要だ。それでも意見が分かれることもあると思うが、その時に参加者で共通の理念があるとシステムの寿命が長くなる。
ビットコイン、フェイスブック、グーグル、アップルなどは働く人に高い金銭的報酬と社会的報酬を与え、激しく変化を繰り返し、数字や役職を可視化し、明確な理念をメンバーに浸透させることに多大な工数を割いている。
そして今、お金・経済がテクノロジーにより変わろうとしている。キーワードは分散化だ。
既存の経済や社会は必ず組織の中央に管理者が存在し、情報と権力を集中させていた。それが最も効率的だったからだ。その後、インターネットとスマホがプラットホームとなった今、リアルタイムであらゆる情報が共有されるようになり、中央に集まっていた力が個人に分散化されるようになった。Uber やAirbnb、mercariなどが個人をネットワーク化し価値を個人の遊休資産で価値を提供できるようになった。UberやAirbnbもなくなる未来が来るかも知れない。
シェアリングをさらに推し進めたのがトークンエコノミーだ。従来は国家が法定通貨を発行し、企業や個人はその通貨でプレーヤーとしてビジネスや生活していたが、トークンエコノミーでは特定のネットワーク内で流通する独自の通貨をトークンとして企業や個人が発行。トークンの性質や流通ルールも自由に設計が可能だ。国が行なっていることの縮小版である。参加者が増えれば増えるだけ便利になるネットワーク効果があり、アマゾン、グーグル、アリババなどが発行すると面白いかも知れない。
かつては国が作っていた経済システムだが、新しいテクノロジーにより個人が作る時代になっている。
このようにテクノロジーにより情報非対称性がなくなり、中央に集まっていた権力が個人に分散化され、従来お金という尺度で測りきれなかったものがお金や価値を生む時代になった。それが価値主義である。
企業価値は財務諸表から算定されるが、今の会計はネット誕生以前のもので、製造業が中心の仕組みだ。モノが溢れ、サービス業が中心となりつつある中で価値主義にそぐわなくなっている。例えばwebサービスの会社にとっては最大の資産はユーザーやそこから得られる購買データなどだが、仕組み上、財務諸表にその価値が載せられない。googleやfacebookもデータ価値をお金に変えていないだけなのだ。
そのような状況の中で、海外の一部の投資家は「企業の従業員の満足度」を投資判断に用いている。IT企業などは財務諸表を見ていても競争優位となる価値が反映されていない。優秀な人がやりがいを持って働いているかどうかが最も重要な基準なのだ。
資本主義から価値主義への大転換期の今、個人がすべきことは価値の最大化だ。あらゆる価値を最大化しておけばいつでもその価値をお金に変えることができる。あらゆるものの判断基準が「自分の価値を高められるか」に変わるのだ。
本書には徹底的な検証を経て見出された本質が詰まっている。変化の激しい時代だが、内容を自分のものにして、色々と仕掛けていきたい。
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: 単行本
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今からでも入社したい!『リクルートのすごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド』
リクルートの すごい構“創"力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド
- 作者: 杉田浩章
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2017/05/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド
- 作者: 杉田浩章
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2017/06/02
- メディア: Kindle版
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